2011年05月28日

これは「外交論」なのか?

日経ビジネスオンラインに、「米国に見捨てられる――新たな危機に直面する日本」と題する記事が掲載された。

タイトルを見て大体予想は付いたが、要するに、見捨てられないようにもっと御機嫌取りに励め、という内容だ。
しかも、書き方が完全にアメリカ視点である。3ページに分けた記事のうち1ページを、米軍が行った今回の震災への支援を具体的に列挙することに充てている。誰にも知られていなかった内容があるなら兎も角、公知の内容を片っ端から並べたに過ぎない。「評論」の場でこのようなことを行うのは、アメリカの行為を宣伝していることに他ならない。
そして、「日本はアメリカにお返しをしないと見捨てられる」で締め括っている。アメリカの常套手段である恫喝外交そのままだ。それが結論なのだから、日本の立場(国益)を考えようという姿勢は感じられない。

問題は、このような記事が、1ページ目の冒頭にあるように、日本の周辺諸国とのこれからの関係を考えるとした連載の中で、しかもトップバッターとして掲載されていることだ。
この調子では、次回以降中国韓国ロシアといった国が話題になるのだろうが、「汚染水流出のお詫びに領土は諦めよ」みたいな話が出て来かねない。そうではなくて、冒頭の部分にもあるように周辺国の「善意」の裏にある冷徹な計算を明らかにし、それに「対抗」して如何に国益を守るかという議論の場としての連載なのではないか。

筆者は当然のことながら、復興支援を理由に基地固定化に繋げようとする米軍を批判する沖縄タイムスの評論を批判的に論じているが、そうであるならば、最低限、東北への支援に何故そこから一番離れた沖縄に基地があるのが最適だと言うのか、この至極真っ当な疑問に答えて欲しいものだ。尚、「対外抑止力と合わせて総合的に最適」という理屈は成り立たない。米軍は「今回の復興支援で沖縄の基地が重要だと証明された」と述べているのだから、対外抑止力と絡めることは出来ない。

巷にはびこる対米従属主義には辟易するばかりだが、今回はそれを唱える本稿の著者よりも、このような人物をこのような連載のトップバッターに据えた編集部に失望した。日本の外交はどうあるべきかを論じるのに、アメリカ側の人間を連れて来たようなものだからだ。
02:24 | Comment(0) | 社会
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