2011年05月28日

都バスが東電株で損失

少し古い話だが、東京電力株が無配になることにより、配当を受ける都営バスの収益が減り、赤字転落の恐れとの記事が出た。
ここで興味深いのは、配当を受けるのが東京都でも東京都交通局でもなく、特に「自動車事業(バス)」決め打ちであるということだ。交通局が行っている事業の中で最も電気から縁遠い分野が電力供給の収益を受けるというのは違和感がある。

交通局が東電株を所有していた経緯は上記日経記事にある通り、昔発電事業も主たる事業として行っていた「電気局」という組織の流れであることによるが、日刊ゲンダイの記事によると、電気局から電気事業を分離した際に株式を所有し配当を受ける主体を「軌道事業(都電)」とし、その後都電がほぼ全滅したため自動車事業に移管した、ということらしい。これだけでは一度に移管したのか、軌道事業と自動車事業のシェアの変遷に応じて漸次移管したのか分からないが、後者であるならば現在も軌道事業分の配当収入があっても良さそうなところ、各記事を見る限り全てが自動車事業の収益に計上されているように読める。

そもそも交通局の事業セグメントは、「高速電車(地下鉄)」「交通(地下鉄以外の乗り物)」「電気」の3つの事業会計に分けられている。高速電車が別枠であるのは、特に地下鉄建設や運営に対して拠出される補助金の関係で地下鉄事業の損益を明確にする必要があるからだと思われる。そして、電気事業分離の段階では地下鉄事業は存在しなかったので、東電配当を後から地下鉄の収益に付け替えるということは、労多くして益無しということだろう。しかし、そもそも電気事業を分離したにも拘らず、まだ電気事業が残っているのである。これは小河内ダムの水力発電を行っているからで、実際には戦時中に一旦切り離した電気事業とは連続性が無い(小河内ダムの完成は戦後)が、電力関連の収入ということでこちらに付け替えた方がすっきりするように思う。

平成21年度決算総括表を見ると、自動車事業の営業外収益:その他が2720百万円とあり、記事にある配当25億円より少し多い額なので、配当はここに含まれているのだろう。

それにしても、本来本業のどれにも関係の無い損益を特定の事業に紐付けして、その損益がプラスだからその事業は健全だとか逆に赤字だとかと論じるのはナンセンスではないか。各事業が独立した企業体であれば意味のあることだが、全ての乗り物を合わせての交通局である。例えば今回生じる減収要因を穴埋めするために値上げをせざるを得ないにしても、それを単純にバスに転嫁するのではなく、どの事業でどの程度値上げすれば顧客逸走が最小限で済み、収益増加が最大になるかを考えるべきだろう。
03:04 | Comment(0) | 交通
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